こんにちは。ゴールデンウィーク後半も後半、いかがお過ごしでしょうか。
連日夏日ですが、良い天気で、カラッとしているのはいいですね。
さて本日は、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉を取り上げます。
やりすぎは良くない、程々が肝心、という意味合いですね。
(論語から来た言葉の様で、諺か故事成語に当たるでしょうか)
これは、先日の朝食時にホットケーキを焼いていた折、大きな(大きすぎる)フライ返しで小回りが利かずに、ホットケーキ同士を融合させてしまったことから思い出しました。
(そもそも料理が下手なのでは、など異論も認めます)
心理学の研究には、「良い」と考えられる行動も、一定のラインを超える(過ぎたる)と逆に成果が下がる、といった様子を報告する研究例がいくつかあります。
最近の研究から端的な例を探してみたので、ご紹介します。
Wang, Y., & Lau, D. (2021). How and why job crafting influences creative performance? A resource allocation explanation of the curvilinear moderated relations. Asia Pacific Journal of Management, 39, 1561-1587.
まず、この論文によって示された結果を、検討方法を踏まえて具体化します。
- 「この会社での自分の役割をよく考えよう」といった具合に、仕事に工夫して取り組む努力(ジョブクラフティング)をある程度している人は、周囲から「他の人に無いアイディアを出している」「良い方法を編み出している」と、創造的な成果を生み出す人物だと評価されました
- しかし、そうした努力に一定以上取り汲んでいた人は、逆に周囲からの創造性の評価が低くなっていました
まさに、「やりすぎ」は逆効果、という結果と言えるでしょう。
この結果を図に表わすと以下のような形式になることから、研究界隈では「逆U字の関係性」と言われたりします。
一見、仕事に関する工夫ならば、やるほどよさそうに思えます。
しかし、この論文では、上記のような努力自体にも労力がかかっている、という点に注意が必要だと主張しています。
言ってみれば、仕事の「進め方」を工夫しても、仕事を「実際に進める」ことに労力をかけられなければ、結果的に仕事の出来が悪くなる、ということはあり得えそうです。
(経営学で取り上げられる「両利きの経営」の難しさにも似てそうです)
また、この論文では、時間的に余裕があると感じている場合は、逆U字の関係性が打ち消され、工夫する努力量が多いほど創造的な成果も高い、という結果も併せて報告しています。
ブログ主の私見ですが、この結果は、「どの程度の努力量ならよいのか」という程度問題に対して、「それは難しいので対策に活かせる部分を別途調べよう」という、上手い立ち回りに思えて、ちょっとした感動がありました。
さて、これらの結果を併せて考えると、まずは、仕事の工夫の努力は、余裕のある時にやっておく、という、1つ目の「わざ」が見えてきます。
もう一つに、仕事の工夫を1つ考え付いたら、工夫の余地がまだあると分かっていても、ひとまず進める、という「わざ」も考えられます。
ブログ主としては、特に2つ目の「わざ」が、まさに職場で受けことのある指導であり、納得するところです。
というより、いわゆるマルチタスクになりがちな職種なので、各業務偏りなく取り組む必要があり、そうせざるを得ないとも言えそうです。
逆に、時間的に融通が利く職業の方や、自分一人で行う副業や趣味などでは、1つ目の「わざ」に通じて、工夫の努力を沢山することが奏功しそうです。
例えば、次の方法を取り入れると良いでしょう(ジョブクラフティングの一般論からの一例です)。
- 「取り組む意味」を考えたり、とらえ直す
- 他人に相談に乗ってもらう、手助けしてもらう
- 無理のない仕事量に調整する
連休の最終日、明日からの自分のため、仕事のことを考えておくのもいいかもしれませんね。
とはいえ、休日とは休むものなので、それこそ時間に余裕があれば、ですが。
それでは、今回はこの辺で。